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魚料理とマナーと知識4

    

魚料理のマナーと知識C

◆9年前、夢中になって見ていたテレビ番組がありました。今の時代の閃光を一身に受けている脚本家三谷幸喜原作。主演は千石役の名優・松本幸四郎「王様のレストラン」と言う傑作テレビドラマがそうです。

過去の栄光は去り、やる気の無いスタッフと傾きかけたフレンチレストランを、かつて勤めていた伝説のギャルソン(ウエーター)千石が立て直す感動とコメデイ―、ペーソスたっぷりなストーリーです。毎週楽しみに待っていました

。この物語はレストラン La Belle Equipe(べル・エキップ)良き友と言う名のレストランが舞台です。森本レオがナレーションをつとめ、シェフ役は山口智子、オーナーに西村雅彦、筒井道隆、バーマンに鈴木京香、脇を固める小劇団出身の俳優達がマネージャー、アシスタントウエーター役やパテシエ、ソムリエに扮し、バックに流れる音楽が演出効果をいっそう盛り上げます。実際のフレンチレストランスタッフのそれぞれの現実や立場、並びにお客様の役回りを見事のまでにストーリーに当てはめていて同業者から見ていても良くもこの機微が判ると毎回感心させられたものです。

さてこのレストラン・ベル・エキップの当店自慢のアイテムにオマール海老のビックリムースなるものがありました。オマール海老の身をすり潰しドーム型のムースにします。そのムースをカットするとオマール海老をすり潰しクリームベースにしたソースがたっぷり出てくると言う他店にはない驚きの一品を女性シェフ「しずか」が創作し、店の看板メニューにして行きます。もちろん劇中にプロのシェフやサービスマン、ソムリエが関与しているのは当たり前に想像できます。オードブル、スープ料理、肉料理に看板メニューを当てはめず魚料理に着目した結果を見て下さい。こってりした肉料理の前には淡白な魚料理です。変化を付けるのであればこのアイテムしかないと考えたのはテレビドラマとは故、理にかなっています。淡白な魚料理は創意工夫したソースがからみます。よく聞く言葉に素材で勝負するという表現があります。がしかし、忘れてならないのは素材で勝負するには丹念な下ごしらえがあってこそです。変化を楽しむのであればドラマ同様に魚料理をオーダーするのはうってつけです。下ごしらえもそこそこに、ソースは簡略化したものであれば味はテキメンに出るのも魚料理ならではの世界観。

最初に伝説のギャルソン千石はこういいます。“私は先輩のギャルソンに、お客様は王様であると教えられました。しかし、先輩は言いました。「王様の中には首をはねられた奴も大勢いる」と。遠廻しに射抜いたテーブルマナーの重要性です。では、ルールとは、ナレーション森本レオの最後の決め台詞 “それはまた別の話し”

レストランを一つの舞台に例えるならサービスするスタッフもお客様も役者であらねばならない・・・そんな気にさせてくれたテレビドラマと魚料理の想像力と劇中劇です。

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