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スープについてのマナーと知識4

    

スープについてのマナーと知識C

◆ボッカ・デラ・ベリタ(真実の口)。オードリーへップバーンの代表作「ローマの休日」に出てくるジョー役のグレゴリ―ペックがサンタマリア・イン・トラステヴェレ教会にある海の神トリトーネの壁版に嘘を付いている人間はその壁板の口に手を入れると噛まれる!と言う伝説をアン王女役のオードリーへップバーンに伝えます。円盤型をした顔に右手を口に入れ噛まれたふりをし、無垢なアン王女を驚かせる一遍は、何ともステキな夢物語に編集され度重なりテレビの映画番組などで紹介されていますのでご覧になられた方は数多くいらっしゃることでしょう。2003年においてもシネマクラブ上位にランクインされているのではないでしょうか。

日本語で「真実の口」。イタリア語で「ボッカ・デラ・ベリタ」。浅草ビューホテルの1階から地下1階に抜ける階段の踊り場に真実の口の見事なレプリカがあります。そのレプリカを見ながら階段を降りていくと本格的イタリアンレストラン「ラ・ベリタ」が有りました。ホテル直営のレストランで完璧なイタリアンレストランが17年前にシティーホテルに登場したのはおそらく初めてであったと記憶しています。しかし様々な理由から10年前に業態変更を余儀なくされ今やかつてと振返り書かなければなくなりました。

 故人となってしまったその時代のイタリア料理界の重鎮、海鉾勇シェフが腕を振るっていた場所です。志半ばにして黄泉の国へと旅立たれましたが、イタリアンレストラン、ラ・ベリタで彼の創るベーシックとイマジネーションが合わせ鏡になった数々の料理は、当時絶賛されました。その中においての一品にミネストローネスープがあります。ややもするとありきたりな味になってしまいがちなこのスープを一段とグレードのあるものにし、評化は業界を席巻しました。今となってはミネストローネの本来の味を堪能できたことが何よりの救いです。

ミネストローネスープ・・・イタリア料理のスープの象徴、たくさんの具入りスープの意味から名付けられています。あっさりしてそれでいてコクが有るトマトベーススープでありながら色艶は浅いレッドオレンジ、ニンニクとオリーブオイル、ローリエを炒め、数ある野菜、ジャガイモ、米、適量なドライバジル、そして良質なイタリアンホールトマトを入れじっくり煮こみ、塩、コショウで味をととのえ、パルメザンチーズをたっぷり利かせるのがファンタジスト。

つねに知識を求め探求信をやまない料理人は芸術家と確信しています。シェフが逝って12年たってもまだあの味覚が舌の記憶としてフラッシュバックするのは、その器だからに他ありません。セクション、年齢こそ違へど同僚としてほこりを感じていました。彼が事の他こだわりを見せていたのが仕上った料理に味も確かめもせずに塩、コショウを無造作にかける!唐突にタバスコを依頼する!まるでイタリアンのルールのようにパルメザンチーズを依頼する!まずは心を込めて仕上った料理を召しあがりその後に整えるべきならば判断はお任せする。やみくもに福音を使用するのは考えて頂きたい、そんな事を言葉に出さずに語っていた横顔が思い出されます・・・・今もってまったくその通りだと思いますし、そして作り手に対してのマナー、同時にテーブルマナーの基本とこれから先も想いつづけることでしょう。スープの知識とマナーを考えた時,頭に浮かぶのは、海鉾シェフのいかつい、ぎらぎらとした顔と、本物の味です。

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