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肉料理のマナーと知識3

    

 肉料理のマナーと知識B

牛肉に(サー)の称号・・・男爵を意味する牛肉文化を発展させてきたイギリスのサイコ―のタイトル、(サー)の称号を牛肉の部位に付けるとは、いかにも西欧文化を大事に継承させてきたお国柄ならではの由縁なのでしょうか、皆さんご存知のサーロインステーキは、ロインと言う牛肉の部位(胸椎の後方)名称に男爵の位(サー)の称号を付け一般に馴染みのある名称になりました。

19世紀にテーブルマナーを確立させたビクトリア女王よりはるか以前の1600年代、イギリスの時の王ジェームス1世「スチュアート王朝」の宴席での話です。パーティ―の最中あまりに美味しい牛肉を食べたゲストに呼ばれた貴族達は、口を揃えて王にこう聞きました・・この牛肉は何処の部分を料理しているのでしょうか?

王は料理長を呼び答えさせました。料理長はロインの部分でございますと答え、その答えに対して王はそうかロインの部分か、こんなに評判の良い牛肉ならばこれに(サー)の称号を与えよう!以後この宴席を境にロインの名称はサーロインになったそうです。(サー)の称号の重さと美食家達を納得させるほどのサーロインの美味さ、ペーソスたっぷりに仕立てたストーリーを今に継ぐ微笑ましい王の計らいでその名称は、一般庶民にも浸透するのにそう時間もかからなかったそうです。

品川泉岳寺の駅を降りると品川駅前の立ち並ぶ巨大ホテル。その巨大な壁に隠れるような裏手に古き良き時代に立った老舗ホテルTがあります。学生時代そのホテルのメインダイニングで数ヶ月アルバイトをしていた時期がありました。

お客様が全て帰りクローズしてから数時間後アルバイトの楽しい夜食の時間が来ます。ローストビーフです。ローストビーフの下地は大きなサーロインのかたまりでした。そのビーフを客前でシェフが切り分けサービスしますが本当の旨みはその大きなローストビーフの客前には出せないかたまり肉の角。お客様には出せない端の部分に当時納得していました。あら塩と黒コショウ、脂身のこげ具合にマッチした端正な繊維質の赤身の肉、お客様には出せないその肉が若い調理人とアルバイトの主食、試食となっていました。アルバイト学生だった時代の食の感激と供に深いサーロインの旨みを記憶として良い意味でのトラウマにしてくれました。後にお客としてサーロインを下地にしたローストビーフを食べる事になった時、オーダーして出てきたサーロインより客前には出せずに捨てられてしまうであろう端の肉を想像して噛締めます。サーロインの料理の中で、あの時の美味さに勝るものは無いような気がします。

サーロインはステーキとして調理される機会の多い部位です。フィレ肉と違い上部に脂身が付いています。ややもすると、その脂身を綺麗に取り召しあがる方がいらっしゃいますが、サーロインの味わいは、脂身と綺麗な赤みの繊維質を同時に食べられることにありますので、大事に召しあがって下さい。なんと言ってもロイン男爵ですから。

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