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デザートのマナーと知識18

    

デザートのマナーと知識Qシュー・ア・ラ・クレーム
フランスの田舎町・グラス市に旅行に行った時のことでした。日本人三人で、昼食をレストランのテラスで取っていました。そんな時、向かいから歩いてくる小学生4,5年生に見える子供が一人。東洋から来た旅行客と確信出来る、おじさん達に興味をしめした模様です。ぐるっと我々の席をゆっくりと歩き、ニコッと笑ったと思うとポツンと一言「ボナペティー(Bon Appetit)」(十分に召し上がれ!楽しく召し上がって“などと日本語では訳します)と言って去って行きました。こんな小さな少年からこんな言葉が出てくる事が不思議でした。

同様なシチュエーションで、自分が子供の頃を想像してみました。逆さにしても出てこない言葉です。食文化大国のフランスならではの出来事に改めて驚かされた事を思い出しています。

 子供の頃から今に続き、シュークリームも好きな洋菓子の一つです。和製仏語です。正しくは「シュー・ア・ラ・クレーム(choux a la creme)」。今の日本で、洋菓子を自然と知る事に、時間はかかりません。ましてや、いつの間にかその味を知っているのが現実です。改めて認識することのない、そんなデザートの一つです。”シュー”は仏語で、キャベツを意味しています。シュークリームの形状がキャベツの丸みに似ているところから名付けられました。

 また、レストランのデザートで出てくる物では有りませんが、小さくしたシューをピラミッド状に積み上げ、飴で固めた物をクロカンブッシュ(croque en bucouche)と呼び、フランスでは伝統的な婚礼のウエディング・ケーキとしています。読者の方で自分の婚礼に際し、使用した方もいらっしゃるのではないでしょうか。勿論、その他、お祝い事に使用したりします。小ぶりなシュー(キャベツ)を子供として見てとらえ、子孫繁栄を意味し、キャベツ自体を豊作に例えたものだそうです。こうした事は、日本の結納品目と同様な考え方と、理解して頂ければ分かりやすいと思います。

 日本の結納品の意味を簡単に紹介すると

「長熨斗(ながのし)」(あわびを意味し、長生きをする貝として、長寿の象徴です)「末広(すえひろ)」(純白の扇子の事です。扇子は末に広がる、繁栄を意味します)

「友白髪(ともしらが」(共に白髪の生えるまで添い遂げる意味です。白い麻糸を送ります)

「松魚節(まつうおぶし)」(鰹節の事で、強き男性を意味します)

「寿留女(するめ」(するめいかの事です。かめばかむほどに味が出る、幸せを作る女性を意味します)

「子生婦(こんぶ)」(昆布の事です。子宝に恵まれ、子孫繁栄を意味します)

「家内喜多留(やなぎだる)」(柳の樽に入れた酒のことです。酒には清める意味があります。家内に喜びが多い事を込めています)

 七つの品の意味を簡略的に紹介致しました。勿論これが全てではありませんが、この様に例えとして象徴しています。

 たかがシュークリーム。されど、シュークリーム。どんな物にも深い意味があります。簡単に手に入るお菓子一つでも、心を込めた意味があります。

 シンガーソングライターの中村中(なかむら・あたる)さんの「友達の詩」という曲の詩で「手をつなぐくらいで良い、並んで歩くぐらいで良い、それすら危ういから大切な人は、友達ぐらいで良い、友達くらいが丁度良い」というフレーズがあります。深い意味で余韻を残した言葉がとても好きです。心の代弁をしたそんな歌詞が気に入っています。

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